このお金はいったいほかに何に使えるか。

手から滑り落ちるその瞬間から、茶色の液体の中に使っているデザイン重視の携帯電話を視認するまで、随分時間がたっているように感じた。その後、自分の手が茶色の液体を掻き分けてシルバーの物体を取り上げおもむろにタオルで拭いているとき、一筋の涙が頬を伝った。
水没、否、糞没尿没の携帯は1ヶ月と2日の使命を終え、帰らぬものとなりました。10ヶ月未満ならば6万近くするのです。6万です、6万。胸が苦しいのはきっと気のせいではない。