批判的姿勢が望ましいとは思わないが、批判的になることをやめるべきだとは思わない。しかし、かなりの賞賛的受容にいくらかの批判的見解を交えておくという態度は、そうしようとしない限り持てないものだと思う。そういう意味で、批判する点を見つけ出す目は持っていたいものだ。
倫理観というのはどの職業にも多かれ少なかれ求められるものである。俺は、医師になぜこれほど多大な倫理観を求めるのかがわからない。職業人としての最低限の倫理観では不足なのか、それともそれすら持ち合わせていない者が多すぎるのか。もしくは医療を受ける側の、医師−患者関係における暗黙の立場設定を認めた上での、ささやかな反抗心なのか。
人間対人間の職業であるという指摘が繁用されるが、逆に言えば、相手は人間でしかなく、人間に対する誠意ある対応(それは社会的動物として当然のもの)と、職業人としての最低限の倫理観さえあれば、何事も問題なく運ぶように思う。
こういう考え方が幼稚であると見做される程に社会は成熟しているのか、もしくは、こういう考え方が理想論だと片付けられる程に社会は腐敗しているのか。